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CxOキャリア -経理財務や経営企画の最高キャリアであるCFOになるためには-
ビジネスパーソンの昇進という意味において最高ポジションである、CxOになるためのキャリアについて、お話してみたいと思います。みなさんが、CxOと聞いて、イメージするのは、CEOやCOO、CFOだと思います。ただ、CEOやCOOの就任は非常に機密性の高い経営人事の情報であるため、転職市場をはじめ、目に触れる形で、求人が出ることはまずありません。むしろ、「CEOやCOO募集」という求人があった場合、それ自体が怪しいといえるぐらいです。ここでは、転職市場で求人が出ていることが一番多い、CxOの中のCFOになるためのキャリアについて、みていきましょう。
CFOは財務最高責任者で、取締役のポジションとなり、経営メンバーとなります。IPOをゴールにしたスタートアップのベンチャー企業のCFOと上場企業をはじめとした、事業をスタートして時を経た事業会社のCFOでは、求められる経験やキャリアが異なる部分があります。ここでは主に、後者のケースについてみていきます。
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CFOの役割
CFOは財務部長や経理部長が果たす役割に加えて、経営視点で財務に関する活動を統括し、財務を通じて企業価値を向上させる施策を実施することが求められます。財務会計の知識が必要であることはもちろん、経営視点で戦略を考える能力と、社内外に対する高いコミュニケーション能力が必要です。
◇財務戦略の策定
CFOは、経営と財務の視点から、企業価値を最も効果的に高めるための戦略をCEOとともに策定し、それを着実に執行することが求められます。
◇資金調達
資金調達の際には、自社の状況を正しく把握し、いつまでにどのくらいの資金調達を行うか、資金調達を融資で進めるのか、出資を募るのかを判断して実現のための活動を統括します。投資家から出資を募る際は、自社の成長性や市場の優位性を投資家に自ら説明することを求められ、高いコミュニケーション力とプレゼンテーション力が必要です。
◇財務管理
集めた資金に対して、日々の予実管理やKPI管理をしながら、企業価値を最も効果的に高める戦略を打ち出し、次のステージに導き、事業成長に貢献しなければなりません。
◇適切な情報開示
上場企業や上場を目指す企業にとって、株主や投資家に対する適切な情報開示は、法律上の要請のみならず、市場の信頼性確保には欠かすことができず、いわゆる、IRのベースも必要です。
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必要なスキルや資質
経理や財務の知識や経験に加え、会社の経営状態をあらわす数値を見て、そうなっている背景を読み取り、改善点がある場合は、関係部門やCOO、CEOへ提案をしていくことになります。そのため、高いコミュニケーション力とプレゼンテーション能力、リーダーシップが求められます。CFOに求めるキャリアの傾向として、以前は経理や財務部長の次のポジションとしてのCFOという位置づけも多くありましたが、最近では外部環境が大きく変化する中で、持続的に経営成績を上げていく必要があるため、経営戦略策定の専門でもある経営企画の経験を求める会社も増えてきています。
企業によって経営企画の職務内容は異なりますが、大きく大別すると、メイン業務は下記になります。
・中期経営計画の策定
・全社予算編成と管理
・全社組織編成
・事業開発(M&Aやアライアンス)
・経営会議体(取締役会や経営会議など)や各種プロジェクトの事務局
これらの対応領域を見て、みなさんはどのように感じるでしょうか。非常に領域がひろいと感じる方が多いと思います。
また、経営企画が他部門と異なる点として、下記が挙げられます。
①業務の対応領域が非常に広く、様々なスキルセットが求められる
②全社視点で、かつ、現在を起点に未来に向けた計画づくりが多い
③経営トップである社長をはじめ、経営陣との接点が非常に多い
④経営計画、予算、組織編成を担うため、事業の一部ではなく、事業領域全ての深い理解が求められる
⑤予算や会議体の事務局において、意見のすり合わせなど、高い調整能力が必要
企業の中にフロント、バックオフィスと様々な部門や部署があり、上記のいずれかが必要な部門や部署はありますが、これら全てが求められるという点において、経営企画には特殊性があるといえるのではないでしょうか。
経営企画もCFOに求められる、経理や財務の知識や経験が必要ですが、日常業務の中で、高い論理的思考力と戦略思考が鍛えられ、予算やプロジェクトなど、全社のコントローラーとなることも多く、これらの経験がある、CFOを求める企業が多くなっている背景があります。
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CFOに役立つ資格とは
CFOをされている方を見ると、公認会計士やMBAをもっている方も多く、これらの資格とCFO業務との親和性は高いのですが、資格とCFOが直結しないという意味において、必須ではありません。財務のプロフェッショナルなのは確かですが、CFOはより高度な意思決定や経営戦略の策定にも携わることがあり、ある資格がCFOのキャリアバスにはならないのです。一方、資格ではありませんが、将来CFOを目指す方におすすめできるものとして、一般社団法人である、日本CFO協会が主催している検定試験があります。プロフェッショナルCFO資格試験(企業価値向上のための財務戦略エキスパート試験)と経理・財務スキル検定(FASS)です。CFOになるために、自分自身が今どの位置にいるのかを見る、ひとつの物差しになると思います。
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CFOになるためのキャリア
ここでは、転職においてCFOになるためのキャリアについてふれたいと思います。財務最高責任者であるCFOという位置づけから、監査法人から採用するケースと経営企画出身者から採用するケースが多いです。監査法人出身者を求めるのは公認会計士の資格を持っている人が多く、経理財務のレベルは問題ないと採用企業が判断しやすいことも理由にあります。一方、経営企画の経験者を求める企業は財務戦略の策定だけではなく、経営戦略の策定や予算統制など、経理財務の領域よりも広い守備範囲の管掌を求めているケースが多いです。
CFOになるためのひとつの経験年数の目安として、10年程度の実務経験が必要です。例えば、経営企画の部長や執行役員からCFOに転職する場合、3年でひととおりの実務経験を習得し、3年単位の中期経営計画を2回は策定し、全社のコントローラーとしてリードした経験は必要です。自己研鑽を積みながら、経理財務、経営企画を10年経験すれば、それなりの形になっていることが多く、いわゆる、レジュメにもアピールできる材料もそろい、面接でも自己を売り込むことができるでしょう。
冒頭ですこしふれた、IPOを見据えているベンチャー企業のCFOの求人もよく目にします。ここまで、みてきたCFOに求めるキャリアや経験とは少し異なります。CFO≒資金調達責任者というイメージです。想像の通り、ベンチャー企業は自己資本が薄く、運転資金も潤沢ではない会社が多くあります。そんなベンチャー企業がIPOを目指す場合、運転資金も確保しながら、IPO資金を調達する必要があります。また、上場に際して、CFOという役職の人材が上場後の組織上、必要なこともあり、IPO企業は求人を出しています。資金調達にかなりウェイトがあるため、投資銀行出身者を求めるケースや●●億程度の資金調達実績必須という求人内容もあります。
ここまでみてきたように、職種でいえば、経理財務・経営企画の経験が求められ、業界は監査法人や投資銀行経験者が優遇される傾向にあります。事業会社においてはCEO、COOに次いで、CFOはNo3のポジションであることが多く、その分求められる経験値やキャリアも高く、10年以上のこれらの職種での経験が必要になることが多いポジションといえるでしょう。
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まとめ
CFOは財務最高責任者として、CEOやCOOのパートナーとして、とてもやりがいのあるポジションです。財務戦略を経営戦略に反映させたり、経営戦略の課題を財務面から改善させたりと、非常にダイナミックに経営とも連携して、業務に携わることができます。株主視点からも、財務の透明性が今まで以上に求められ、ますます、その重要性も認識されている背景もあり、CFOのニーズも今後、ますます高まってくるでしょう。
経理財務や経営企画でキャリアを積んだ人はキャリア集大成として、CFOにあこがれる方も多いと思います。CEOやCOOのように非公開求人が原則ではありませんが、現状のCFOとのリプレイスやIPOのためのCFO採用など、社内はもちろん、外部にも知られたくない採用案件の場合は非公開求人になっているのも事実です。CFOの求人数自体も多くなく、転職市場においては、かならず複数候補者との選考になり、競争率も高くなります。
次のキャリアとして、CFOを目指す方は、信頼でき実績のある転職エージェントに相談することをおすすめします。どんな経験やキャリアをもった人がCFOとして、転職に成功しているのかといったデータが、転職エージェントにはたくさん蓄積されているため、CFOを目指す方は一度、相談してみるのがよいと思います。逆にどういう方が通過しなかったということも教えてもらえるため、現時点で、自分自身、どこを強化する必要があるのか、明確になるというメリットもあります。
CFOとしての総合力をみるために、1次面接で、「ケーススタディ」を課す選考パータンもあります。ケーススタディとは1次面接の前に課題が出され、それをパワーポイント数枚にまとめて、面接でプレゼンテーション、質疑応答をする選考です。課題は様々ですが、ある会社の決算分析や経営課題を分析・整理するといった、CFOとしての基礎体力を問うものが比較的多いです。これらのケーススタディの情報や課題資料の添削も、転職エージェントでサポートしてもらえますので、できるだけ多くの情報を入手して、面接準備をすることをおすすめします。